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【京都産業大学】タンパク質合成の異常から細胞を救う新たなタンパク質を発見 -- 英国科学誌『Nature Communications』オンライン版に掲載

京都産業大学生命科学部 千葉志信教授らは、ドイツ・ハンブルク大学の研究グループとの共同研究において、異常なメッセンジャーRNA上で停滞したタンパク質合成装置を解放する新たなタンパク質BrfAを枯草菌において発見し、その分子機構を解明した。




 タンパク質は、生体内のほとんどの生命現象に必須の重要な分子である。細胞内では、メッセンジャーRNA(mRNA)という、長いひも状の分子に転写された遺伝情報に基づいて、タンパク質合成装置(リボソーム)により、多種多様なタンパク質が合成される。この過程は翻訳と呼ばれ、すべての生物が共通に持つ、基本的、かつ生育に必須な仕組みである。この翻訳が停滞せず、正しく進行することを保証するための仕組み(翻訳の品質管理機構)もまた、生物が生きていく上ではなくてはならないものである。

 今回、異常なmRNA上で、翻訳を終結できずに停滞してしまったリボソームを解放(レスキュー)する新たな因子として、グラム陽性菌に分類される枯草菌から、BrfAというタンパク質を発見した。翻訳終結は、リリースファクター(RF)と呼ばれる因子が終止コドンを認識することで起こるが、BrfAは、終止コドンがない状況でもRFを活性化し、異常mRNA上で停滞したリボソームを解放することが分かった。RFに依存したリボソームレスキュー機構は、これまで、グラム陰性菌に分類されるごく一部の細菌においてのみ知られていたが、今回の研究から、グラム陰性菌とは分類学上近縁ではないグラム陽性菌の仲間にも、非常に類似した仕組みが進化の過程で備わっていたことが明らかとなった。

 今回の新規レスキュー因子の発見は、将来的には、翻訳や、その品質管理機構のより深い理解へと私たちを導いてくれる手がかりのひとつになるものと期待される。また、そのような、仕組みを深く理解することは、その生物学的過程を阻害することで抗菌作用を示すような薬(抗菌薬)を開発する上でも重要な手がかりになるものと期待される。

 この研究成果は、2019年11月27日に英国科学誌『Nature Communications』に掲載された。

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